少し前に、学生さん向けの木の器づくりの教室で、制作のサポートをさせていただきました。クリの板を好きな大きさにカットし、ノミなど数種類の道具を使って、円や楕円など各々が考えた形の器に彫っていくという教室で、数日に分けて制作をしていきました。
出来上がってからの発表会。ある学生さんが、少し長丸の自作の器を手に、
「自分の家は、親と二人暮らしです。自分がいないときに、親が生活費をテーブルに置いて行ってくれるのですが、今までは、お金をそのまま置いてあった状態でした。これからは、この器に入れてもらえたら…と思って作りました。」
と発表してくれました。
初めての制作でしたので、当然ではあるのですが、仕上がっていないところが残っているところもあり、少し思ったようにはいってないかな…というところのある器でした。
パッと見た感じそうだったのですが、その話を聞いて、改めてみてみると、直接顔を合わさないときでも、何かを伝えるコミュニケーションを生んでくれるような、そんな力を持つ器はこれ以外に無いんではないか…そんな気がしてきて、更にその学生さんが一生懸命ノミで彫っている姿が蘇ってきたりして、良いものって何だろう、力のあるものって何だろう…と、改めて考えさせられたのでありました。
2.良いモノってなんだろう。